こんなところに酒蔵が?と思うような普通の町の中にあるこの酒蔵、木造の酒蔵は江戸時代末期のものがきれいに残り、そのまま酒蔵として今も使用されています。
当主・田中康博社長のお話によると、現社長が酒蔵に帰ってきた30年前には一度コンクリートの酒蔵にしようと思っていたところ、ある方に「そんな貴重な酒蔵をなくしてはいかん。大事に残しなさい」といわれたのをきっかけに、思い直し現在に至るそうです。
個人的には酒蔵、特に地方の地酒蔵はやはり木造の酒蔵であってほしいです。おいしいお酒ができる雰囲気がぷんぷん(実際麹?の甘ーい香りが漂っています)、微生物の働きを利用する酒造りにおいてはこうした「酒蔵の木材」もその味わいに一役買っているはずです。
貴重な発酵途中のお酒も見せていただきました。なんとそれを少し味見させていただけました。まだまだ日本酒になりかけている状態でしたので酸っぱかったです(笑)
さらに出来上がった麹米(麹菌を繁殖させた米。これと水と蒸した米でお酒を仕込みます)も味見。一言でいうと「栗」のような風味です。この「栗」の風味が出ないといい麹ではないそうです。
つくりの違い、精米歩合の違い、搾り方の違いなど、やはり実際に現場で見るのは毎回勉強になります。水に対する考え方など色々なことを教えていただきました。
見学後は大吟醸や純米酒を飲み比べ。同じ蔵の酒でも目指すところの違う酒です。冷酒向き、燗酒向きなどそれぞれのスタイルの違いがよくわかります。
その後は場所を変えて、料理と田中酒造さんのお酒を楽しむ懇親会でした。
お忙しい中、時間を割いていただいた田中社長と岸杜氏、本当にありがとうございました。